埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター
准教授 野村 泰朗
<「○○力」育成のための学習活動における発表の場>
- 近年、問題解決力や情報活用能力などが注目されている
- 知識や技能は、その習得や達成の状態を確認し易い
- ペーパーテスト、技能コンテストなど評価法が明確
- 「○○力」は「有無」でなく、いかに高めるかという「程度」の問題
- 程度を決めるのは「より考えたか」という思考判断の質や問題
- 「○○力」の学習は思考判断を鍛えることに相当
- 考えられるためには「見方考え方」と「よさ(価値)」の指導が必要
- 例えば「正確さ」や「速さ」という「よさ」を大事にするのであれば、「人間が手で計算するよりも電卓やコンピュータを使った方が速く正確に計算できる」が、「機械も故障することがあるし、ソフトウェアにもバグがあり得る」という中で「速さと正確さのトレードオフ」という「見方考え方」を使ってどちらがよいか、さらに別の案はないかを考えて、決断することになる
(1) | 「よさ」が変われば方法も違って来ることを知ることが大事 |
(2) | 「トレードオフ」以外にも「フェイルセーフ(人は失敗するものだという立場で考える)」や「バリアフリー」など、さまざまな「見方考え方」があり、それによって判断も違って来ることを知ることが大事 |
- 個人の「○○力」 は個人の主体的な「見方考え方」と「よさ」の取捨選択と適用の結果
- 個人内に取捨選択と適用の規準をつくることが大事
- 社会との乖離(独りよがり)を防ぐために他者の規準との比較が大事
- PDCAサイクルにより取捨選択と適用の機会を繰り返すことで規準獲得
- 他者との比較の場として「発表の場」が重要
<活動と評価の一体化>
- 発表や競技、ものづくりは学習の手段であり目的ではない
- 何を学ばせたいかによって学習の手段は違う
- 例えば、同じように言葉によって発表をする「口頭発表」と「ポスター発表」でも、先の小学校教員のコメントにあるように、教師がめざしたいことに対応してどちらを選ぶかを決める必要がある
<効果的な発表の工夫ができる=教師の問題解決力、情報活用能力が求められる>
- 指導方法を定型化しすぎず常に教育のねらいや児童生徒の様子に応じた方法を選択する
- 教師自身が独りよがりにならないように教師同士での情報交換を活発にする
- 新しい人に出会い、新しい考え方を得るための行動が大事