
様々なストレス対処法
この項では、ストレスと上手につきあうための様々なコーピング(対処法)を紹介します。
日常生活にすぐに取り入れられるものから、じっくり取り組んでいくとよいものまで、幾つか挙げますので、関心を持ったものを試してみてください。
また、ストレスを感じた時に周囲のサポートがあると影響が緩和されることも知られています。悩みや心配事をひとりで抱え込まず、相談したり頼ったりできる人間関係を日ごろから作っていることが、ストレス状態に陥った時に心強い支えとなってくれるでしょう。
さらに、自分ではどうしようもなくなった時は、医療機関を受診したり、カウンセラーに相談するなど、専門家の活用も有効です。
- 様々なストレス対処法
休養、趣味を楽しむ、軽い運動、散歩、音楽を聞く・歌う、生活に色や香りを取り入れる、食事の工夫、ペットとふれあう
など

考え方への介入
ストレス状態が続くと、思考の柔軟性が損なわれ、こだわりや一方的な見方へのとらわれなどが出てきます。物事をどうとらえるか、受けとめるかという認知とストレスとは、関係が深いものです。“悪いことばかり考えていると、実際に悪いことばかりが起きてくる(ように感じる)”といった体験は、意外によくある出来事です。
ここでは、こうした認知への介入方法を考えます。
ここで紹介するのは、認知行動療法と呼ばれる心理学の技法にもとづく介入方法です。この認知行動療法は、「思考」、「感情」、「行動」の3つが互いにどのように関連しているのかを見直し、ある問題に対して、どこをどのように変えていけばよいのか、問題解決の糸口を見つけるやり方です。
チェックシートを使って、考え方のクセを探してみましょう。
- 思考(どのように考えているか)、感情(どんなふうに感じているか)、行動(どんな行動をしているか)の関係を見直す
- 心の中にある“思い込み”、偏った考え方、よく感じる感情、よくとる行動について気づく
- 問題状況を改善するコツをつかむ

リラクセーション
[呼吸法]
呼吸法は、ゆっくり呼吸することで、血液に酸素を送り込み、心身の緊張をとるリラックス法です。
腹式呼吸で鼻から大きく息を吸い込み、止め、口からゆっくり息を吐き出すという簡単なもので、これを自分のペースで何度か(3〜10回くらいが目安)繰り返します。
息を吸って止める時、「落ち着け」「いやな気持ちは出て行け」などの自己暗示をかけ、いやな気持ちは息と一緒に吐き出します。
- 楽な姿勢で椅子に腰掛ける
- 軽く目を閉じて、楽な気持ちでゆったりする
- 肺の中の空気をすべて吐き出す
- 心の中で、1つ、2つ、3つ、4つと数えながら、鼻から息を吸う
- 心の中で、1つ、2つ、3つ、4つと数えながら、息を止める
- 心の中で、1つ、2つ、3つ、4つと数えながら、口から息を吐き出す
- 4〜6をもう一度繰り返す
このあと、そのままリラックスできる場合はこれで終わりですが、もし授業や仕事が残っている場合は、「消去動作」が必要になります。
[消去動作]
- 両手のこぶしを握りながら腕を曲げ、次に腕を伸ばして手を開く動作を3回繰り返す
- 背伸びをして脱力
[漸進的筋弛緩法]
この方法は、身体の緊張をやわらげるのに良い方法です。筋肉を緊張させている時には緊張感をよく味わい、弛緩させている時にはそのリラックス感をよく味わうことがポイントです。
ここでは簡略版を紹介します。
- 楽な姿勢で椅子に腰掛ける
<右腕>(左利きの人は左右逆で実施)
- 右腕に力を入れる
握りこぶしを作り、それから上の腕にぐっと力を入れる - そのまま、5秒ほど力を入れたままにする
- ストン、と脱力し、力をゆるめる
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
※左腕も同様に行います。
<右足>
- 右ひざを伸ばす
右足全体にぐっと力を入れ、つま先で緊張させる - そのまま、5秒ほど力をいれたままにする
- ストン、と脱力する
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
※左足も同様に行います。
<肩>
- 肩をぎゅっとすぼめて、肩を緊張させる
深く息を吸って止める - そのまま、5秒ほど力をいれたままにする
- ストン、と脱力する
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
<胸>
- 空気を吸い込んで肺をいっぱいに満たし、息を止める
- そのまま、5秒ほど力をいれたままにする
- ストン、と脱力する
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
<背中>
- 背中を反らせて、肩甲骨をぐっとよせる
- そのまま、5秒ほど力をいれたままにする
- ストン、と脱力する
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
<顔>
- 顔をしかめ、眉にしわをよせる
目はかたく閉じて緊張させ、歯をギュッとかみしめる - そのまま、5秒ほど力をいれたままにする
- ストン、と脱力する
- 20秒ほどゆったりする
- 1〜4を繰り返す
このあと、そのままリラックスできる場合はこれで終わりですが、もし授業や仕事が残っている場合は、「消去動作」が必要になります。
[消去動作]
- 両手のこぶしを握りながら腕を曲げ、次に腕を伸ばして手を開く動作を3回繰り返す
- 背伸びをして脱力