教員育成のためのモジュール型コア教材 臨床編

発達障害がある不登校児童・生徒への援助

メンタルフレンドとしての学生による支援の可能性

まとめ (3分50秒)

【発達障害がある不登校児童・生徒はどのくらいいるか】

不登校の児童生徒の中に、何らかの発達障害(精神遅滞、自閉性障害、アスペルガー障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など)がある者が多数いるのではないかという指摘があるが、全国的な調査はない。中野(2007)が福島県の291(小学校198、中学校69、高校24)の学校を調査した結果は以下のとおりである。

  • 小学校、千人当たりの不登校者2.9、そのうち発達障害16.1%
  • 中学校、千人当たりの不登校者27.4、そのうち発達障害7.9%
  • 高校、千人当たりの不登校者7.3、そのうち発達障害13.3%

これらの数字は学校が確認したものであり、実際にはもっといる可能性がある。

【不登校児童・生徒の中にどういう発達障害がみられるか】

  • 精神遅滞は小学校29%、中学校20%で、校種が上がるにつれて減少
  • 広汎性発達障害(PDD)は小学校62%、中学校49%、高校44%で、いずれの校種も特定不能のPDDが多いことに注意を要する
  • 学習障害(LD)は校種に差はなく約5%
  • 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)は、小学校では少なく、中学校22%、高校31%であり、校種が上がるにつれて二次障害が生じている

【発達障害がある不登校児童・生徒の学年別、性別分布】

  • 小学生では、小学校3年から見られ、小学校5年生にピークがある
  • 中学校では、中学校2年生にピークがある
  • 男子に多く、男児比は、小学校で10:1、中学校で3:1、高校で1:1、校種があがるにつれて男女差がなくなることに留意する

【不登校の期間はどのくらいか】

  • 3ヶ月未満の者は、小学生で29%、中学生で25%、高校で56%を占める。1年以上の不登校を示す者は、小学生で43%、中学生で43%、高校で12%である
  • 小・中学校で不登校期間が長く、高校は中退があるので、数字の上では不登校期間は短い

【誰から支援を受けているか】

  • 学級担任の支援を受けているのは、いずれの校種でも80%に達するが、特別支援教育の関連教員の関わりは、小学校で38%、中学校で17%、高校で35%である
  • 教員以外の専門家の関与は、いずれの校種ともに80%に達するが、医療機関への受診は小学校、中学校、高校の順で多く、逆にスクールカウンセラーの支援は高校、中学校、小学校の順で多い

【不登校からの回復状況】

  • 学校に完全復帰できた者は5〜10%、毎日別室登校できた者が5%、断続的な別室登校者が50%である
  • 全く登校できない者が、小学校で33%、中学校で39%、高校で35%で、校種に差がない

【学生ができるメンタルフレンドのねらい】

  • 発達障害の程度が軽度であれば、学習、遊び、運動を通じて、発達の遅れや偏りをアセスメントすることができる
  • 学習援助や得意な分野を伸ばすことで、自尊心の向上を図る
  • 対人関係の特徴を把握して、社会的スキルの向上を図る

【メンタルフレンド活動の留意点】

  • 面接と違って「自己開示」しやすい能動的構造なので、不用意に活動の枠をくずさないこと
  • 訪問先の家庭が見えすぎたり、家族から専門家として期待されたりするので、指導教員からのスーパーヴィジョンが必要である
  • 有償か無償かによって責任の違いが起きる
    有償の方が、学生のモチベーションが持続しやすい

■参考資料

本教材に関連する資料です。講義や研修会でご活用ください。

【パワーポイントスライド】関連資料

発達障害が疑われる不登校の実態(パワーポイント資料)

表示する

メンタルフレンドについて(パワーポイント資料)

表示する

■参考サイト・参考文献

◆『新しい実践を創造する学校カウンセリング入門』

国立大学教育実践研究関連センター協議会 教育臨床部会/編

東洋館出版社 2007年