
高機能自閉症・アスペルガー症候群とは



広汎性発達障害
(pervasive developmental disorders;PDD)
- 広い意味での自閉症と考えてよい。
- 広汎性発達障害の有病率は1.0〜1.5%。
※増加傾向にある。近年、診断告知がすすみ、高機能広汎性発達障害が捕捉されてきたことが影響している。
高機能自閉症・アスペルガー症候群の特徴
- 高機能自閉症は、自閉症と診断されたもののうち、知能指数(IQ)70以上のもの
- 自閉症とは、「対人的関係の障害」「相互的なコミュニケーションの障害」「限定的、反復的な興味・活動の様式」があり、3歳までに遅れあるいは異常が生じたもの。
- アスペルガー症候群は、自閉性障害の3領域のうち、コミュニケーションの障害が削除され、さらに、言語発達に遅れがないもの。
【考えよう!】<軽度発達障害と呼ばれるのは?>

気づき・発見と理解




高機能自閉症やアスペルガー症候群は、知的な発達に遅れがないので、障害に周囲が気づくのが遅れることが多い。
- 学習上の困難さ、友人関係や集団行動がうまくできない、自己中心的な行動や奇妙な発言から発見される。
- 小学校高学年で、不登校やパニックの頻発などによって問題視されることがある。
- 大学や社会に出てから周囲とうまくやれずに医療機関で判明する場合もある。
【広汎性発達障害の幼児期の発見】
- 3歳児健康診査の前後で、人への関心の低さやことばの獲得や発達遅滞から。
- 幼稚園入園後、集団行動がとれず、対人関係の悪さや行動上の問題が指摘されて。
「気になる子ども」ではあるとしながら、明確な診断や相談を受けず、小学校に入学するケースも少なくない。ここに例示したポイントに基づいて、子どもの行動観察を進めていきたい。
最も大切なことは、発見や診断でなく、まずは本人の立場に立ってあげて、どんなことに困っているのかをみつけてあげることである。
.【さらに掘り下げてみて!】<高機能自閉症者を描いた作品>

支援や対応のポイント



高機能自閉症・アスペルガー症児への支援
障害による制約を、支援の工夫や環境整備などにより補っていくことが大切である。
- 分かりやすい指示を出す
- 分かりやすい説明をする
<詳しい解説を見る> - 教室のなかでは、障害特性に応じて、一貫性のある対応をおこなう
- 活動、集中時間に配慮する
- 条件付き、段階的に肯定してあげる
- 強制や無理強いは逆効果である
- 子どもの衝動的な行動に周囲が巻き込まれないようにする(時には見守ることも必要)
- 受容する姿勢と優しい対応を心がける
<詳しい解説を見る>
【特別支援学校のとりくみと風景から!】

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【取り組もう!】◇子どもの困り感をくみとっていく
特別支援教育において、通常学級においては、発達障害児への対応と学級経営の両立の難しさがある。しかし、「教師の困り感」より、子どもの立場からみた「子どもの困り感」を理解し受けとめることの方が問題の解決につながることが多い。対象となる子どもと周囲の子ども、そして、その保護者の困り感をくみとっていくプロセスを示した。
(1)〜(4)に従って進めていきたい。

【考えよう!】◇周囲の子どもに理解してもらうことが重要である
周囲の子どもに対象児を理解してもらうためには、まずは教師がうまく説明してあげる必要がある。しかし、対象児本人と保護者の抱える悩みとねがいをくみとってあげた上でおこなわれるべきである。簡単に障害について語るのは誤解や批難をまねくこともある。充分に、本人や保護者と協議して、学級のみんなに理解してもらいたいことを整理しておく必要があろう。説明の際のポイントを9つあげてみた。一つひとつについて、具体的にうまく説明できるかどうか、考えてみよう。

【ポイント!】◇学級経営のポイントにそって進めよう
「一人のためのみんな、みんなのための一人」という言葉があるように、すべての子どもにとって優しい環境つくり(バリアフリーな社会)が求められている。そこには、お互いをよく知りあう必要がある。そして、互いを認め合って、初めて集団つくりができてくる。発達障害児が学級にいる場合、特別支援教育を学級集団つくりの中心にすえることが必要である。そのためのステップアップとして、学級経営のポイント1〜4の手順がある。