教員育成のためのモジュール型コア教材 臨床編

目標を失った、無気力な中学生にどう対応するか

キャリアカウンセリングの実際

1.
信頼関係(ラポール)の構築
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第1ステップは生徒との信頼関係(ラポール)の構築です。

これには日頃からの人間関係づくりが大切です。

カウンセリング時には特に、生徒の話を決して否定せず、たとえ自分の考えと違っていてもとりあえずそれをそのまま受けとって傾聴することが大切です。そのことが生徒との信頼関係を構築することにつながります。

ポイント
  • 傾聴的態度が肝要
  • 生徒の視点に立つこと
  • 生徒を「なおそう」とするよりも、「理解する」態度・姿勢が大事

2.
キャリア情報の収集
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第2ステップはキャリア情報の収集です。

一般的な上級学校や職業(就職先)に関する情報を収集するだけでなく、生徒個人が興味・関心を示す職業分野や希望する条件、あるいは、本人が望む「生き方」に関する情報などを生徒から直接聴いて集めます。

ポイント
  • 生徒の考えを導き出す
  • 生徒の考えや意見を否定しない

3.
アセスメント(自己分析、正しい自己理解)
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第3ステップはアセスメントです。

ここでは、アセスメントによって「正しい自己理解」を図ることが重要です。

アセスメントの方法にはさまざまな手法がありますが、ガイダンスツールとして開発された「職業ハンドブックOHBY」を紹介します。

「OHBY」の中に「仕事発見テスト」があります。これは、アンケート方式で自分自身の「好き/嫌い」や、「得意/不得意」を入力すると、最終的には自分に合った職業が複数出力されます。その中から、自分にとって興味のある職業について、さらに検索して職業を絞り込むこともできます。

また「OHBY」では、430種類の職業について、最新の職業情報が紹介されており、職業がそれぞれ「どのような職業なのか」や「なるにはどうしたらいいのか」を理解したり、実際にその職業についている「先輩からのメッセージ」を読んだりすることによって、将来の職業や進路の選択を援助するように作られています。

ポイント
  • 自分の興味・関心を中心に、能力や価値観についても理解を深める
  • 自分の長所など、肯定的側面に目を向けさせる

【OHBYのサイト】

URL:http://ohby.hrsys.net/top/top.htm


4.
目標の設定
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第4ステップは目標の設定です。

暫定的に、将来どのような仕事に就きたいのか、目標を設定します。ここではあくまでも「仮に」選ぶとしたら、という暫定的なものです。しかし、将来に目を向けさせ、仮の目標を設定することは、職業意識を高めることにもつながります。

ポイント
  • もちろんこれは決定ではなく、暫定的な選択であることを説明する
  • 生徒が決めた目標を否定しない
  • せかしたりせずに、生徒と一緒に考える姿勢が大切

5.
目標達成のための課題の特定
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第5ステップは目標達成のための課題の特定です。

その目標達成のためには、どのような課題があるのかを列挙します。

ガイダンスツール「OHBY」では、その職業に就くためのキャリアパスも出力されますので、それを元に何が今の自分に足りないかなどを一緒に考えることができます。

この事例では「医療ソーシャルワーカー」になるためには高校から大学への進学が必要なことを確認し、そのためには苦手な英語の学力をもっと向上させる必要がある、と気づきました。

ポイント
  • 課題が明確になるように、援助する
  • 課題がすぐに特定化できない場合には、時間をかけて一緒に考える
  • 課題は、くれぐれも「押しつけ」にならないように、生徒の考えを尊重する

6.
目標達成へ向けた行動計画
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第6ステップは目標達成に向けた行動計画です。

その課題をどのようにすれば達成できるのか、行動計画を立てさせます。

「何を」「いつまでに」「どれくらい」「どのように」の4つのポイントを含むように、行動計画を具体的に立てることが、具体的な行動につながります。

ポイント
  • 生徒が自分にとって、無理のない、現実的な計画が立てられるように援助する
  • 上記の4つのポイントのうち、「いつまでに」が特に大切
  • 小さな目標達成の積み重ねが、最終的に大きな目標を達成するための方法であることをよく理解させる

6.
フォローアップ
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第7ステップはフォローアップです。

目標達成に向けた行動計画が予定通りに進んでいるか、その進捗状況を定期的に確認しながら、問題があれば適切なサポートを行います。

ポイント
  • 適切なタイミングで継続してフォローしていくことが大切
  • 計画通りに進まない場合には、原因を探り、解決できることは処理をする。解決できないときには、第4ステップの目標設定まで戻って、計画についても見直しを図る