
今日も保健室に来てしまった

学校の中で、一般的な指導や教師の管理下から逃れられた場所、そこが保健室です。学校の中では、とても入りやすい、居心地のよい場所といえます。
保健室によく訪れる生徒の顔は、養護教諭も覚えます。
しかし、その中には明確な体調不良の訴えがないのにもかかわらずいつも訪れる生徒もおり、養護教諭の気がかりは増していきます。
アキヒロもそんな生徒の一人でした。

頭が痛い、いや、お腹が痛いんです

生徒がその場しのぎで口に出す言い訳を見抜くのは、簡単でしょう。特に保健室で休みたい生徒にとっては、この理由を作ろうとすることに必死です。明らかにサボリが目的ならば、それ相応に厳しく対処する必要もあります。
しかし、アキヒロからはサボリの理由作りの余裕というよりは、とにかく保健室にいたい、という必死さがにじみ出ています。こんな時は仮病が疑われるような状況であっても、必要以上に本人を追い詰めないようにすることで、信頼感が生まれます。

名探偵? 養護教諭の推理力

養護教諭は、担任や教科指導の教師が気づきにくい生徒の心の痛みにも気づくことが可能です。しかし、養護教諭がその生徒の苦悩に気づいたからといって、本人や担任に対して、自慢していたのでは、生徒の苦悩の解決にはなりません。
生徒に対して、養護教諭の気づきが当たっているかを慎重に確かめ、当たっていたのなら、なぜそう考えたのかも生徒に伝え、同時に養護教諭がその生徒のためにできることは何なのであるのかを、一緒に考えます。

不登校を防ぐのは養護教諭が呼びかけるチームワーク

事情を担任や教科指導の先生に話せば、あっという間に終わってしまうようなことでも、養護教諭がすべて処理してしまわないことが大切です。生徒と確かめ合いながら、生徒と、そして担任や教科指導の先生との話し合い場を設定します。その際には、保健室という場所は、大変役に立ちます。
また、生徒と教師、教師と教師が、小さなことで後々に傷を残さないようにするために中立の立場を取り、しかし、必要によっては弱い立場の者のバックアップに入るくらいの判断力は持っていなければなりません。
養護教諭の仕切りで、生徒本人も含めたチームワークが取れることで、それぞれの心にあったわだかまりを消し去ることが可能になります。